Epilogue
return

【Epilogue】12/11(金):放課後 陵南高校前の海岸>アキラ
(放課後、学校が終わるとすぐに仙道彰に会いに来た。けれど彼を探して回るようなことはせず、あの日のように海岸沿いを散歩するだけの時間が長く続き、そのうち人気の少ない浜辺に降りて貝や漂流物を集めるのに夢中になったり、海の歌をうたってみたり、そのまま踊ってみたりもした。ゆったりと楽しげに、飽きることなく。)……わあ、(やがてあまりに美しい光景を前にして、歌詞の続きは感嘆に変わる。冬晴れの日の黄昏時、黄金色の巨大な夕焼けがそこに在った。彼が教えてくれた夏の夕日とは異なる輝き。澄んだ冬の空気がもたらす眩い光に目を奪われて、目的も忘れ立ち尽くす。それはほんの数分の出来事かもしれないし、辺りがすっかり暗くなるまで続いたかもしれない。もしも日暮れ前に彼と会うことが出来たなら、)よかった、アキラに会いに来たんだ。話したいことがいっぱいあって。(唐突な来訪のわけを告げ、陵南に進学すること、鯛の尾頭付きを食べたこと、海が見たくなったこと、彼に会いたかったこと、そのほかにも胸の内に浮かぶものから順番に遮られでもしないかぎりは次から次へと話したろう。たとえ彼が現れずとも海と空の境界線が消えてのち、繰り越された楽しみをつれて帰るだけ。──いずれにせよ、確約された再会は後日、陵南高校の体育館にて。)
* 11/19(Sun) 19:19 * No.276