FREE
return
11/18(水):早朝 第一体育館

(小学3年生の頃。当時は狭い庭の限られたスペースで、ひたすら小さなリングへ向けてシュートの練習を重ねてきた。以来、日課たるシュート練習を一度も欠いたことはない。一昨日の夜から一向に降りやまぬ六花は今朝もまた曇天より舞い落ちて、運動場を一面銀色に染めていた。これは今日も休校になるだろうと思いつつ、起床時間の一時間以上前より身支度を整えては同室の彼よりも一足先にスポーツバッグを背負い第一体育館へと向かおうとして、)うお、まじか……すっげ……。(一階ゆえだろうか。少なく見積もっても20cmは越えているであろう雪の壁が眼前に広がる光景に、思わずと感嘆が零れる。瞳をぱちくりとさせていたのも束の間、ほどなくして聞こえた『おはよう』の声の方へと視線を向ると、そこに雪かきをしているおなじ棟の先輩の姿を見つけるのだった。確かにこの積雪では満足に歩けまいと、小さく挨拶を返したのちに「手伝いマス」とおのれもスコップを借りて雪かきを名乗り出てはアパート周辺と、それから管理棟や体育館までの道を通れるように整えることに尽力した。数多の生徒の力を借りればより早く雪かきも終わるだろう。しかして体育館に行けるようになったのはいつもよりも遅い時間となったものの、お陰で体は丁度いい感じにほぐれている。案の定学校も休校となれば、練習の他に雪で遊ぶ時間も恐らく作れるだろう。しかし、それにしたって。)つめてー……カイロ持ってくるんだった……。(やはり外で長時間雪かきをしたのは応えた。しもやけで赤くなった手と手を擦り合わせて温めつつ、スリーポイントラインに立てばバスケットボールを手にリングと向き合った。ボールに手を馴染ませるように、その場でドリブルをつきながら。ゆっくりと深呼吸を落としたのち。)……牧サン改め、来年は神サンが率いることになるだろう王者海南……選手層も厚く個々の技術力も高い。(ひとつ。放ったボールが綺麗な弧を描いてストンとリングを潜る。)海南と二大巨頭張ってきた全国常連校の翔陽……監督の問題が残るが、その分来年はまったく新しいチームになる筈。(ふたつ。これまた綺麗にリングへIN。リズムが出来てきている。)田岡監督と天才仙道サンが導く堅牢な陵南……チームバランスは現状一番安定してるが、外の層はやや薄い印象。(みっつ。ボールがネットを潜る音が小気味よく響く。心が乱れることはない。)全国まで駒を進め、あの山王にも勝利したダークホースの湘北……選手層が薄いうえに、わりと部員同士の揉め事が多そう。(よっつ。静謐に満ちた体育館にボールの弾む音が大きく響く。連続四本のスリーを決めたのち、)決めきれね〜……!!(はぁ〜〜〜と重たい溜息を吐き出すとともに、ボールを抱えてその場にしゃがみ込んだ。学校見学も海南と陵南を残したあと2回。加えて合宿が終わるまで残り2週間ほどしかない。)でも……決めねーとな……。(選手層が厚く、ベンチの強さも安定している学校。監督が優秀な学校。中は盤石でも外から射抜く術を持たぬ学校。それぞれ個性も色も様々で、いずれも魅力的である。けれど、なによりおのれの才能を伸ばしていけるだろうと感じた学校は――。今一度息を吐いては立ち上がり、邪念を払っては練習に励むとしよう。悔いの残らぬよう、おのれの未来を選び取れるように。まだ時間はあるのだから。)
* 10/11(Wed) 13:15 * No.21