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【sub】11/1(日):午後 第一体育館(3Pシュート)【5】

(海南の監督と陵南の監督が提案したという歓迎会は一風変わったものだった。まさかバスケの練習に来てカボチャを刳り貫くことになるとは思わなかったがこれがなかなかどうして奥が深く、おなじ顔を彫りながらも各々の個性が現れたような仕上がりの違いに面白さを感じたものだ。ハロウィンなる行事の成り立ちも知らず、監督らの話は殆ど聞いていなかったというていたらくながら、ミニゲームの勝敗に応じてお菓子の遣り取りをするというルールさえ把握していれば問題はないだろうと手製のお面を引っ掛けてはスリーポイントラインに立って挑戦者を待つとしよう。お面の柄はありきたりながら、海外ホラー映画に登場するホッケーマスクの怪人がモデルだ。因みにこれはお化けっぽいものについてチームメイトらと話をした結果行きついたものである。閑話休題。)挑戦するか?(とは、こちらへ近寄ってきた者へと向けて。お面を押し上げて顔を見せては、バスケットゴールを親指で示しながら問うただろう。ゲームとしてスリーポイントシュートを選んだのは自らの練習になるということもあるが、公平性を兼ねての判断だった。――余談だが昨日隣の部屋のチームメイトが雷を落とした甲斐もあってか、本日は定刻通りの顔出しが叶っている。)
* 9/7(Thu) 22:13 * No.3
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(桜木が自ら名付けた過大評価の肩書は数多くあれど、此度得た「カボチャマスター桜木」は周囲からも異論なく承認されたのであった。その腕力と意外な手先の器用さをもってお手本の如くくり抜かれたカボチャは、今もステージの一番目立つところに飾られている。ついでに中身については自由に持ち帰ってよいとのことだったので、今夜のおかずはカボチャの煮つけの予定である。一方で、絵心はさほどなかったためお面についてはお題を無視し、黄色のポスカで塗りたくった画用紙を好き勝手に切り抜いて目立つ頭をさらに派手に飾り立てた。)ぬ、センドー!(そう、ちょうど彼の頭のように、トゲトゲとしたシンプルなシルエットの王冠である。因縁のエースを見つければ失礼なまでに堂々と指さし、)フン、このバスケットキング桜木に挑もうとはいい度胸じゃねーか。受けて立ってやる!(偉そうにゲーム開始を受諾して。先にエリアに居たのは彼なのだから挑戦者は此方なのだが、細かいルールなど憶えているはずがない。もちろん「トリック・オア・トリート」などという掛け声も。)で、ここは何で勝負すんだ? ま、何だろうとてめーはオレが倒すがな!(打倒仙道に燃える単細胞は彼の立つスリーポイントラインが示すゲーム内容すら把握しないまま、はっはっはと笑い声ばかり調子よく。)
* 9/9(Sat) 01:13 * No.4
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(すっかり聞き馴染んだ声が耳に届けば、相変わらずな様子に自然と笑みも浮かぶ。)よう、桜木。怪我はもういいのか?(仔細までは知らずとも、IHでの怪我の話は後輩より聞き及んでいた。合宿への参加に加え、此度邂逅した印象より恐らくは心配ないだろうと思いはすれど、案じていたことに嘘はないゆえその容態を問うてみよう。頭に輝く王冠をみとめては彼らしいなとの感想を懐きつつ、承諾を得られれば楽しくなりそうだなと緩い微笑みを浮かべていた。ルールを適当に覚えているのはこちらもおなじ、トリック・オア・トリートの掛け声なぞ無くてもゲームは始まるだろう。勝負について問われたなら、ボールカゴからバスケットボールを取り出して。)スリーポイントシュート、やったことあるか? ここの線を踏まねーように、アウトサイドからシュートを打つんだ。……こんなふうにな。(言いながら、手本を見せるように一球打ってみせる。リリースされたボールが緩やかな放物線を描き、吸い込まれるようにバスッと見事リングを潜ったなら「お、入った」と感嘆を零しつつ、彼を振り返っては緩く口の端をもちあげた。)5本勝負、多く決まった方が勝ちだぜ。やるだろ?(断られるだなんて思っちゃいないように、カゴから取り出したバスケットボールを彼へと差し出そう。)
* 9/9(Sat) 21:07 * No.5

おう。天才ヨユーの大復活!(いくら敵とて自分の身を案じられて嫌な気はしないので、合宿に来てからもう何度見せたかわからないブイサインを披露してやる。しかし調子に乗っていられたのもはじめのうちだけ。勝負から逃げるという選択肢を持たない男は当然のようにミニゲームに参戦したものの、いざお題を知れば、げ、と明らかに苦手意識の滲む声をあげて。)フン、スリーポイントシュートぐらい知ってらあ。(知識としては流石に知っている。だがそれを十八番にしているのは14番の先輩であって、桜木のシュート成功率はリングから離れるほどにぐんと下がる。ましてやリハビリから復帰後、インターハイ前に出来たことすら出来なくなっているのだから、口先では強がったものの、手本とばかりに彼が放ったボールが見事ネットを揺らすのを目の当たりにしたならば、「ぬあーっ!?」と悲鳴に近い驚愕を示し、)マグレだ!! マグレに決まってる!!(半ば自己暗示に近い叫びをあげて何度も彼を指さした。あまりの見事さに流石に「ズル」とは言えなかったが。)当たりめーだ。この天才桜木、スリーポイントくらいヨユーで入れちゃる。……ミッチーにできて天才にできないはずがねー。なぜなら、天才だから。そう、(ブツブツ。受け取ったバスケットボールを抱え彼と立ち位置を入れ替えたなら、そっと構えをとる。──が、実のところスリーポイントの正しい構えなど知らなかった。スリーポイントに特化した練習なんてしたことがなかったし、ゲーム中打とうと思って真面目に打ったことすらなかった。呼び起こす記憶は自らが知る一番綺麗なシュートフォーム。「ミッチーはたしか、こんな感じで…」けれど案の定、朧気な記憶が不格好なフォームを生み出し、「フンッ!」と放ったところでそれはリングに届きもしない。)あーっ!!!(フリースロー対決ならばまだしも、たった5本のスリーポイントに奇跡は起きない。その後桜木は失敗を重ねて、不本意な惨敗を喫するのだろう。)
* 9/10(Sun) 16:10 * No.6

相変わらず頑丈だな。(余裕を示す仕草をみとめては口の端を緩くあげた。彼の底知れぬ身体能力には常々驚かされてきたが、怪我の治癒も早いとは畏れ入る。思えば試合でもベンチに突っ込んだり陵南の誇る怪物センターに盛大にふっ飛ばされながらも元気だったなと回顧しては、それも曰く“天才”が所以かと妙に納得してしまうのだけれども。バスケを始めてまだ日の浅い彼にスリーは厳しいかと思いはすれど、それを言葉にするような野暮はしない。知識としては知っていると言葉をもらえば「だよな」と一笑し、斯くて決まったシュートへのブーイングにものんきに笑った。)そうだな、ラッキーだったよ。(試しにと投げてみた一球がこうも綺麗に決まるとは想定外。ゆえにマグレも強ち間違いとはいえないだろうとさっぱりと運が良かったと認めてみせて、先刻投げたボールを回収しよう。)おう、決めてみせろよ。(応援とも期待とも取れる言葉を投げかけては、やる気十分な彼の後方で腕を組んではその健闘を見守る姿勢。なにやら四苦八苦している様子を見たなら「教えよーか?」と親切心で問う場面もあっただろうが、しかしてゲームはこちらの堅実な勝利で幕を下ろした。もしこれがフリースローや1on1だったなら、或いは結果は違っていたやもしれないが。)ワリィな、桜木。えーっと、勝ったら菓子をもらえばいいんだっけか。(この謝罪は彼に不利なミニゲームで勝利したことに対してのものではなく、菓子を貰うことに対しての謝罪だった。正直お菓子はそこまで重要視していないのだが、しかしここで貰わないというのは彼のプライドにも影響するだろうと思ったがゆえに要求する所存。)どれを選ぶかはお前に任せるよ。(さて、彼がこちらに渡す菓子はなんであるのか。もちろん彼が渋るようならば菓子の譲渡は無しにするつもりでいるけれど、どれを譲るかの権利は彼に預け、その決断をにこやかに見守るだろう。)
* 9/11(Mon) 00:09 * No.7

(ハロウィン。その言葉に馴染みがなかったのはなにも日本の子供たちばかりではない。あまりに未知の、そしていささか子供染みた歓迎会に対する呆れか困惑か。いずれかの感情で忙しい同級生たちのなかで、色鮮やかなオレンジの山に瞬き、それからわあ、と幼子のような歓声を上げたのは乙坂一人だったかもしれない。その後も目立ってはしゃぐものだからルールの説明を受ける間は副部長に小突かれる場面も何度かあって、ゲームのライフポイントともいえるお菓子を配られた際には「食うなよ?」と念押しもされた。)食べないよ。だって、これがないとゲームできないんでしょう?(そのくらいわかっていると返せば、再三言われた「あとは失礼のないように」の再放送。それもわかっている。ゲームの最中にすべきことなんて限られているのだから。──そうしてミニゲームが始まった。選手たちの能力調査も兼ねているのだろう、スペースに対して人数が多すぎるので、二、三のミニゲームが同時に行われるのを監督や他の選手は観戦することとなる。すぐにでもゲームに参加したい気持ちと、件の選手たちのプレーが見たい気持ちとがせめぎあい、最終的には後者が勝った。)アキラ! がんばれ!!(否、目立つ赤頭に目を奪われ、その行方を追った先にルームメイトを見つけ、全てがそっちのけになったというのが正しい。関心の選手二人の3Pシュート対決とあればよくよく観たいに決まっている。ゲームの邪魔にならない範囲で最前線を陣取れば、たった一日で随分と懐いた相手に大きく手を振り声援を。彼が見事にシュートを決めたなら飛び跳ねて、その後も成功すれば思わず「Que alegria!」と叫んだろう。一方、赤い彼の方は種目の問題だろうか、3Pは苦手らしく全く決まる気配がない。まだろくにフォームを知らない姿は過日の自分と重なって、思わず、)サクラギも! リラックスリラックス!(両手をメガホンにして精一杯のエールを。あ、呼び捨てにしちゃった、と気づいたのは飼い主よろしく背後に立っていた部長の拳骨をくらってのち。)
* 9/16(Sat) 13:17 * No.11

……な、なぜだ…。なぜ入らん……。(余裕のエールを受ければ余計にムキになって力み、1本目よりも2本目、そして3本目と回を重ねるごとに勝手に乗ったプレッシャーの分だけ動きが鈍った。リングに届けることを第一にすると飛距離ばかり伸びて明後日の方向に飛んでしまうし、彼が親切にも指導を申し出た時に「敵の情けは受けん!」と突っぱねたことを少し後悔し始めて。)だいたいよう、なんだっててめーには声援があってオレにねーんだ! こらおめーら、オレの応援もしやがれってんだ!!(加えて桜木を苛立たせるのは彼のファンか友人か、詳細は知らないが彼のシュートが決まるたびにきゃっきゃと騒ぐ長髪の男だ。他にも勝負の行方を見守る者から感心の声やヤジが聞こえてくるのだが、決まって前者が彼、後者は自分宛なのが気にくわない。思わず騒めきの在処を振り返ってくわ! と一喝、威嚇してのち、もう負け試合は決まっているが一応の5本目を打つために3Pラインに立った。)るせー! リラックスの鬼桜木を前に何言ってやがる! んで誰がガチガチキンチョーしまくり男だこの野郎!!(「リラックス」と件の男の励ましと同時にいけ好かない同期の呟きを拾ってしまえば、応援しろとは言ったがもっと良い台詞を選べないのかとまた叫び。──そうしてやんややんや、騒いだところで惨敗だ。)……そーなのか?(不慣れな3Pを選んだ時点でわかりきった結果ではあったものの、いざ負けてみるとやはり悔しい。不本意です、と顔に書いたままボールを拾いあげたその時、彼の謝罪に「同情はいらねーぞ!」と顔を上げて怒鳴りかけ、そして誤解に気づく。菓子、確かに先ほどもらったような。当然ルールなどろくに聞いているはずもなく。)なんでオレが負けたのに菓子まで取られなきゃならねーんだ。(食べ物を奪われるとあってはこれまた不満げな表情を浮かべたものの、ここで渋っては格好がつかない。そうだ、何処かで未来の後輩が自分を見ているのかもしれなかった。)チッ。じゃあこれをやる。この天才から譲り受けたチョコだからスゲー価値だぞ。(仕方なく選んだのはチョコレート。短パンのポケットに入っていたせいで少し溶けかかったヤツを選んだ。)
* 9/16(Sat) 17:54 * No.12