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【Prologue】10/31(土):午後 食堂

(合宿の開始を明日に控えた午前中、宛がわれた部屋の掃除は早々に終わらせてしまった。何せ特段大量の荷物を運んだという訳でもなければ、湘北はおろか自宅からもそう遠くない場所に合宿所が位置していることを考えれば直接取りに帰ることすら選択肢に入るのは道理だろう。湘北から徒歩10分の距離感は寧ろこの1ヶ月の登校時に甘えるには十分すぎる其れだから、それだけでも明日からの合宿に参加をする意味がありそうだと――そんな気楽な考えと共に、足を向けたのはアパートから少し先。管理室と同一の建物に存在する食堂は、これから毎日世話となることが確定しているからこそ重要な場所として認識をしている訳で。)……なーんだ、やってねーのか。定食楽しみなんだけどなー……。(ひょいと入口から覗き込んだ先、残念ながら明かりすらも灯っていないように見えるのは、食堂の利用が平日のみと定められているからだろう。ぽつりと呟き肩を竦めたところで、耳朶を打つのは誰かの足音。同じように食堂を頼りに訪れた誰かだろうかと、其方へ視線を向けながら、)残念ながら今日は閉店っぽいぜ。近くにコンビニあったっけ?(相手が誰かも知らない中で掛ける声の気安いこと。)
* 8/25(Fri) 20:14 * No.2

なに、ジューヤク出勤ってやつだ! おめーらと違って天才だからなこのオレは!! はっはっはっ。(途中顔を合わせた他校生といくつか言葉を交わし、騒ぐだけ騒ぎ立てて気が済んだらその場を立ち去る。「相変わらずだな」との評価と苦笑を背中に受けながら。──午前中、一人遅れて合宿所にやって来たのは寝坊でもサボりでもない。最終調整というやつだ。明日から始まる合宿に向け、念のため病院に寄って来た。結論から言えば走るのも飛ぶのもオーケー。問題なし。ただし無茶はしないこと。少しでも違和感があればすぐに休むこと。なんて、聞き飽いた呪文のようなセリフは途中で奪って諳んじてやった。そうして意気揚々とやって来た桜木は部屋に荷物を投げ入れ、窓を開けて換気だけ済ませてのち、ぶらぶらと歩き出す。掃除はカワイイコーハイとやらが決まってからすればいい。ならば最初にすべきことは腹ごしらえだ。)――ぬ、ミッチー!(だが、足を向けた先で待ち構えていたのは温かな食事ではなく見慣れたチームメイトの姿。)なんだ。やってねーのか。(閉店の言葉に窓から中を覗き込めば、確かに暗がりが見えるだけ。けれどがっかりする必要はない。)コンビニなら駅の方にあった気がする。よし、いこーぜミッチー。(当然のように彼の肩に腕を回せば、「ラーメン屋でもいーぜ」と言い添えて。)
* 8/25(Fri) 22:16 * No.3

(視界に収めた赤の鮮やかなこと。ふっと和らげた表情は身内に対する柔らかさを伴って、後輩の姿を迎え入れよう。)よう、桜木。ちゃんと病院行ってきたか?(届いた声の主を聞き間違えよう筈もなく、挙げた片手は彼を招くように。午前の時点で彼の姿がなかった理由は予め聞いていたから、寧ろその姿を前にすることが出来たことに安堵したのは己の経験があるからこそかもしれないけれど。)ラーメン屋こそあったか?この辺。近いならラーメンでもいいけどよ。(どちらにせよ明日より世話になることに変わりはない食堂を前に、新たな選択肢として提示したのは探せば近隣に在るであろうコンビニの存在。腹を満たすことが出来るならばと見当付けはしたものの、温かな品が提供される方が良いというのは当然で。己よりか遥かに胃袋が大きいだろうい彼を思えば、大盛や替玉が可能な方が懐にも優しいだろうから。肩へと回された腕は甘んじて受け入れて、自然と合宿所より外へと足を向けることを咎める者は残念ながらこの場には居合わせない。見咎める者も、まあ居やしないだろう。)
* 8/26(Sat) 14:30 * No.9

おうよ。きっちりバッチリ!(長いリハビリ生活を案じてくれた仲間は数多くいたが、彼もまたその一人。「天才桜木完全復活!」「ま、トーゼン」などと偉そうにブイサインを突き出せば、この時ばかりは安心材料となるだろうか。)駅前にはパチ屋とラーメン屋。これジョーシキだぞミッチー。(そのまま気安くじゃれつけば、己の要望がすんなり通ったのに気を良くしてわははと笑う。そうしてガラの悪い男が二人、駅前へと繰り出した。先ほど通った道を遡ること約3分、『学生限定 替え玉無料』と掲げたラーメン屋を発見。)おお! 見ろミッチー、ラーメン屋までこの天才の復帰を祝ってるぞ!!(ありふれた赤い看板と暖簾さえ今は祝福の象徴に見えた。フンフンと機嫌よく扉を開けると手前のテーブル席がちょうど空いたところ。待ち時間もなく通されれば早速メニューを広げ、)えーと、とんこつラーメン大盛とチャーハン大盛! それからギョーザと野菜炒めね。(普段よりは控えめなオーダーを連ねてのち、)ミッチーはどーすんだ?
* 8/26(Sat) 17:54 * No.11

(「ならいーけど」、連ねられた彼ならではの調子に乗った言動はあっさりと流す素振りで、けれど内心の安堵はきっと、同じく怪我をコートから去る理由として有していたからこそ誰よりも。)ラーメンはまだしもパチに縁がねーんだよ。(確かに目にする機会はどちらもあるけれど、前者に関してはいまいちピンとこないのは仕方がない。共に向かった駅前にて、早々にラーメン屋を発見したのならば笑みも浮かぶというもので。「ハイハイ、良かったな」と些か適当な相槌も、今更気にするような間柄ではないだろう。彼に続く形で店内に足を踏み入れれば、テーブル席の向かいに腰を下ろそうか。)醤油ラーメンとギョーザで十分だわ。よく食えんな桜木、見てるだけで腹膨れそうだぜ……。(広げられたメニューを逆側から覗き込むようにしながら、早々にメニューを決めてしまえば注文の為に店員へと声を掛けることとしよう。己の注文を店員へ告げたのち、彼の注文が終わるまでを見届けてから。)お前、部屋何処だっけ?オレの上じゃなかったよな?(誰がどの部屋を宛がわれたのかは何となしに耳にした気がしなくもないけれど、実際に目にしない限りは実感が伴わないというもの。隣の部屋ではなかったということだけが、実感として存在しているか。)
* 8/26(Sat) 20:03 * No.14

そーか? これでもいつもよりは少ねーくらいだぞ?(ハードな練習後はさらに倍以上は食べるのだから、今日はまだ一汁三菜からマイナス一菜、少ない方だ。「ミッチーは見た目に似合わずセンサイだよな」と呟きながら、とりあえず水で腹を満たして。)オレは201号室。階段上がってすぐの角部屋だったな。(問いかけにはジャージのポケットを漁り、先ほど使った鍵を取り出して見せた。当然合宿のしおりなど熟読するタイプではない。部屋割りも然り。)ミッチーの上かどうかは知らん。(彼に尋ねられるまで同室者となるコーハイのことしか頭になかったが、湘北メンバーが同じアパートを使うのならば隣人と階下は重要なポイントだ。ふぬ、と二階建てアパートの外観を思い出した結果、デフォルメされたキツネがコンと鳴く。)……ハッ、まさかオレの隣がルカワってことはねーよな!?(思わず大声を上げてのち、「真下ならアバレちゃる…」と企てた悪だくみを遮るようにギョーザが二人前運ばれてきた。出来立ての湯気がほわ、と荒んだ心をやわらげる。)ま、アイツなんざこの天才の眼中にねーがな! それよか気になるのは中坊たちだろ。ゴリみてーなやつばっかだったらどーするよ。(空腹に急かされて歪に割れた箸が餃子に伸びる。羽根つきのそれを一気に二つ挟めば、大きな一口で迎え入れて。)
* 8/26(Sat) 22:46 * No.17

運動した分腹減るってのはわかるんだけどよ、そこまで動いてなくても食えてんのが信じらんねーんだよな。(倍以上はあるだろう彼との食事量の差には思わず肩を竦めるか。「見た目通りだろーがよ」と憮然とした表情を向けることも忘れずに、テーブルの上へと頬杖をついたのなら。)ふーん。ならオレの上じゃねーな。(純粋に喜ばしく思うのは、彼の階下となった際に騒音に悩まされやしないかとの思いが失礼ながら拭えなかったものだから。他の部屋割りの全貌こそ明らかとするのは合宿所へ戻ってからとする心算で、そういえばと思い出すのは同室者となるらしい後輩たる中学生の存在だ。尤も彼らが此度の合宿を通じて進学先を決めたところで、入学の際に既に同じ校舎に姿はないのだけれど。)あんじゃねー?流川が隣。だとしても壁叩くのはやめとけよ、中坊もビビんだろ。(届いた餃子の皿を前に、箸を手に取れば両手を合わせて。「イタダキマス」は悪だくみをなす彼を前に素知らぬ振りで。)最初から赤木みてーな中坊が来たらヤベーけどな。あいつも最初は笑えたもんだし、まあ大丈夫じゃね?実際入学したところでオレは卒業してるだろーし?(伸ばした箸が一つを摘まめば、小皿に注いだラー油へと絡んでまずは一口。「うめえ」と零れ落ちる笑みは満足げに、)オレと同室になるからには、湘北に入ってもらわねーとだけどな。お前もそのつもりでちゃんと勧誘しろよ?安西先生のご意向もある訳だしよ。
* 8/27(Sun) 00:28 * No.19

フン、そんなヘマはしねー。そこは天才的な塩梅でいい感じにだな…!(後輩は脅かさず憎たらしいライバルにのみダメージを与える術は何一つ思いついていなかったが、不確かな自信だけが唇にのる。そんな目論見も空腹が満ちるにつれて頭から消えていってしまったけれど。)オレはイヤだぞ。ゴリみてーなコーハイ。(脳内でゴリラの大群が押し寄せウホっと叫ぶ。思わずしかめっ面で新たに餃子を口の中に放りながら「暑苦しーことこの上なし!」と言い切れば、少なからず同意は得られるだろう。とはいえ元キャプテンを煙たがっているわけではないと、わざわざ言わずともわかっているであろう彼の前だからこその振舞いでもある。現にリハビリから仮復帰してすぐ、赤木の不在を目の当たりにしてしょぼくれた姿を湘北バスケ部の面々には見られているのだから。──だからこそ、というべきか。彼が何気なく口にした言葉にピクリと反応したのは。)ソツギョー……(けれど実感はまだない。毎日のように部活に顔を出している諦めの悪い男は冬の選抜までは居座ると言っていたし。ゆえに不意に訪れた感傷はお冷といっしょに飲み干して。)おいおい、誰に言ってるんだね?(代わりにいつもの不遜が顔を出す。)この勧誘の鬼と呼ばれたオレの手にかかれば楽勝楽勝!! そこにいるだけでアコガレの的だからな! まさにセンボーの嵐!(はっはっはっ、と肩を揺らして高らかな勝利宣言とともに残りの餃子もぺろりと平らげ、ちょうどよくやって来たラーメンを勢いよくズズッとすすれば、)ま、バテバテミッチーは精々コーハイたちにゲンメツされんよーにな! 
* 8/27(Sun) 20:26 * No.20

天才的な塩梅ってどんなだよ……。(呆れたような声を出しつつも、その無駄な自信もまた彼の長所と考えれば、調子が戻っていると受け止めて良いだろうか。)流石に完成された赤木が来るのはオレもヤだけど。(入学した頃の彼を知っている身からすれば、後輩としてあの頃の彼が入部したとして、どのような態度を取るべきかは検討事項かもしれなくて。とはいえ実際どのような中学生が彼の同室となるのかは、これからのお楽しみとしておこう。「まだ先だけどな」、――落とされた響きに何となしに返す音は、慰めにも満たないあっけらかんとした音で。)お前勧誘の鬼なの?初めて聞いたわ。ならお手並み拝見だな、取り敢えず同室の中坊は引き込めよ?(この後輩がそのように称されている姿等見た覚えもないけれど、当人が乗り気であるのならばわざわざ気を殺ぐ必要もないだろう。憧れの的や羨望の嵐はともかくとして、彼が人目を惹く存在であることに、今更ながらに否と声を上げるつもりは毛頭ないから。彼に比べれば幾らか落ち着いたペースながらに、届いたラーメンを啜る合間に残りの餃子を平らげたりと、徐々に胃袋は満たされていく。)もう見られてる可能性もあるんじゃねーかと思ってるんだけどな、オレがバテてるとこ。神奈川の中坊共だろ?いっそオレが倒れたとこ見てるまであるぜ。そしたら今更幻滅も何もなくね?(些かの開き直りを感じさせる物言いは、此度の合宿の正体対象となった彼らについてを考えてのこと。将来有望な中学生達、加えて今もそれぞれバスケ部に所属している身となれば、少なからず高校生達が出場する試合を見ている可能性すらあると踏んでいて。ならば既に知られている――己の最大の弱点、体力の無さを。)
* 8/29(Tue) 18:02 * No.24

ったりめーよ! このオレと同室になったからにはトーゼン湘北に入れてやる! そんでオレにアコガレて入ってくる中坊が多ければきっとハルコさんも……!(当初期待の新人になど1ミリも興味はなかったのだが、元副キャプテンが言うには「後輩から慕われる男っていうのは格好いいもんだぞ。桜木に憧れて有望な中学生がたくさん湘北に入れば、きっとハルコちゃんも喜ぶし桜木のこと見直すんじゃないかな」だそうなのだ。否、「そこは見直すじゃなくてホレ直すだろうメガネ君!」などというやりとりがあったわけだが、まあそんなわけで途端乗り気になった男はラーメンを啜るかたわらむふむふと怪しげな笑いを披露して。)ハッ……たしかに…(しかし激励を兼ねた生意気な発言も真正面から受け止められれば真顔となり、)ミッチーはスリーポイントもまあまあ目立ってたが、体力ねーのでも目立ってたからな。(「まさにバテバテ王…」と納得顔で頷いた。もっとも、それを言うなら此方も退場王という不名誉なあだ名があるわけだがそれはさておき。)つまり最初から期待もされてねーってことだな。となると、やはり頼みの綱はこのオレってことか…! よし、任せろミッチー!! 期待されてねーミッチーの分もオレがコーハイを勧誘してやる!(彼と違って己を客観視できぬまま、新たに運ばれた炒飯と野菜炒め、ラーメンを味噌汁代わりに奇妙な三角食べの合間にどんと胸を叩いてみせた。)あ、この礼は風呂上がりのコーヒー牛乳でいいぜ。(それからちゃっかり強請ったのは、これから始まる合宿生活に付随する銭湯の後のお楽しみ。)
* 8/30(Wed) 22:21 * No.26

(どちらかといえば過去の実績を鑑みるに、彼が意識して止まないもう一人の一年生にこそ憧憬を覚える中学生が多い気がしなくもないけれど。目前の彼は彼で魅せるプレーをすることは確かだろうから、「あーはいはい、頑張れよ」と軽く受け流すのは些か雑が過ぎたかも知れないが。何やら画策しているらしい彼に気合が入っていないという訳ではないようだからと、羽目を外し過ぎない程度には泳がせるつもりである。面倒臭いとも言えなくもない。)だろ?体力ねーのはオレの課題だからな……お前らの体力が羨ましいぜ……。(バテバテ王はさておき。遠い目をするようにして呟く言葉が本心であることもまた確か、今後のバスケ人生に於いてスタミナの必要性は嫌という程に実感をした実戦ばかりであったから、体力強化のメニューはこの合宿中にも確りと組んで臨む心算であるのだと。)フッ、甘いな。期待されてないところから頭角を現すのが真打ちってやつだろーが。お前みたく最初から全力で飛ばしてねーの、こっちは。(先導するようにして中学生を導いてくれる存在となり得るのであれば未だしも、なんだかんだと素人プレーが抜けない後輩であるとの認識に変わりはない。とはいえ、そうした快活さもまた彼の魅力だろうから、精々髪色と同様に明朗に笑っていてくれれば其れで良い。彼と異なり適度な量で終えた食事を終えたなら、両手を合わせて「ごちそーさん」と締めの挨拶。)いや奢らねーぞ?銭湯は楽しみだけどな、お前みたいな名前してる所だろ?(テーブル上へ頬杖付けば、後は彼が食事を終えるまでを見守る心算で。時折コップの水を口にしながら。)
* 9/1(Fri) 20:16 * No.30

なにおう! ケッ、最初から飛ばせねー奴はそーゆーんだ。最初から最後まで全力でやってこそ男ってもんだろーが。(「甘い」と笑う彼の言葉をフンと荒い鼻息で蹴散らしたものの、炒飯と野菜炒めを頬張ったまま「みっひーはとうはふをあらはへねーままばてるとみた」などと軽口をたたく様を見れば本気で機嫌を損ねたわけではないとわかるはず。表立って口にはしないが湘北の3年生を皆兄のように慕っているので、同級のライバルに向ける敵意とは異なり生意気な物言いも戯れに等しい。それなりに可愛がられている自覚もある。)――ぬ? な、なんでだ…!?(だからこそ。彼の締めの挨拶から間を置かず二つの皿が空になり、残った丼からも麺は消え、すぐに「おばちゃん、替え玉ちょーだい!」と叫び終えたところでつれない返事が返ってくれば、心底驚いたと言わんばかりに彼を見つめて。)まさかミッチー、オレのことカワイくないんか…? カワイイコーハイに奢るのは先輩の使命だろう!(彼の言う通り同じ『桜』を冠した銭湯の名前はすぐに覚えた。やはりこの世の全てが自分の復帰を祝福しているのだと高笑いしたのも記憶に新しい。だからこそ、頑張る可愛い後輩にコーヒー牛乳。高くない出費だろうと思ったのに。)そんで次はフルーツ牛乳奢ってもらうつもりだったのに…!(ついでに言えば、このラーメン屋の会計すらも。のちにわかることだが、現在桜木のジャージのポケットには先ほど取り出した部屋の鍵のほか、ジャラジャラとも鳴ってくれない穴の開いた小銭が2枚しか入っていない。湘北の食堂ならばいつものツケ作戦も叶ったろうが、此処は初めて訪れるラーメン屋。ということは──)……合宿始まる前から騒ぎ起こしたら、リョーちんきっと怒るよな…?(「あとゴリも」ボソリと呟いたのは会計時、全ての事実を知った彼の傍らにて。)
* 9/2(Sat) 23:33 * No.33

あ?なんて?頭髪?(口振りからして軽口であると推察出来ようと、全てを聞き取れなかった結果は訝しげな表情で。)え、お前……自分のこと可愛いと思ってんの……?(自らのことを“可愛い後輩”だと自認しているとは恐れ入る、瞬いた瞳は雄弁に驚愕を語っていたことだろう。客観的に見遣ったところで赤髪を坊主に刈り上げた、己よりも上背の有る図体のデカい後輩。当然ながら可愛らしいと形容するには難しい姿だけれど、主観的に見て可愛いか可愛くないかと問われれば、まあ前者であることは当人にも伝わってしまっていそうな――。「奢らねーよ」と呆れの混ざった声で返したところで、彼の懐事情を知ってしまえば肩代わりをすることは必至となることは、直ぐ後に判明する。)あのなァ、脅しにも何にもなんねーからな?それ。今は出してやっけどよ、戻ったら宮城に言うかんな。ついでに赤木にも。(合宿所周辺の施設として、少なからずこれから世話になることが決まっている以上は問題を避けるが吉であることは当然で。この場に於いての彼の監督責任は己に在ると思うからこそ、年長者として場を収める選択肢を採りはするけれど。いつまでも甘えてばかりじゃいられないんだぞ、先輩面をして宣う言葉もすぐに訪れる春を想起させるだろうか。――結局、“貸し”として彼の分の支払いも行うけれど、合宿所に戻って早々にまるで雑談じみた軽いノリで新旧主将へと語って見せたのはご愛嬌だ。翌日より貸した分を返すように時折声を掛ける姿が見られる合宿となることも、また決定事項かもしれない。)
* 9/4(Mon) 23:22 * No.37


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